出産後に必要な手続き

手続き届け出場所期限必要なもの備考
出生届市町村役場14日以内母子手帳、印鑑、出生証明書なし
出生の連絡はがき投函か、市町村役場なるべく早く母子手帳に付いているはがきなし
出産一時金勤め先なるべく早く母子手帳、印鑑なし
児童手当市町村役場出生届けと同時印鑑、通帳 1人につき5000〜10000円/月。所得制限あり、東京都渋谷区の。国の制度らしい。
健康保険加入被扶養者へ勤め先などなるべく早く印鑑、申請書類
児童医療費助成市町村役場なるべく早く 所得制限あり。東京では乳幼児医療費助成?
入院助産費用市町村役場 出産費用にお困りのかた。所得制限あり
育児休業給付金勤務先またはハローワーク 関連:育児休業中の保険料免除、育児休業中の厚生年金保険料の免除、育児休業者職場復帰給付金
確定申告(医療費控除)税務署確定申告時期医療費・交通費のレシート、領収書年末調整後の出産時は年末調整のやり直しか、申告が必要
生命保険生命保険会社いつでも 子供を保険受け取り対象にしたり、必要なら加入
貯蓄計画
学資保険
養育期間標準報酬月額特例勤め先(から社会保険事務所へ)なるべく早く区市町村長の証明書または戸籍抄本,申出者が当該子を養育することになった日を証する書類(住民票(写)等育児に関わる時短などで給与が下がるときに申請する
出産手当金勤め先なるべく早く申請書(医師の記入が必要)社会保険庁:保険給付(被保険者に関する給付)。被保険者が出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないときは、出産手当金が支給されます
保育園の入園手続き すぐに預けるなら必要
病児保育サービス登録 東京都限定(?)。子育てと就労の両立支援の一環として、保育園等に通っている乳幼児が「病気の回復期」などで集団保育が困難な時期に、専用施設で一時的にお預かりする事業です
未熟児養育医療制度保健所なるべく早く 2,000g以下で生まれた子や発育に問題があって、NICU に入った子の医療費を助成する制度

”運動音痴”の治し方

日経ビジネスオンライン

 「運動神経がいい」という言い方がありますね。これに関わるのは、脊髄にある「運動ニューロン」という神経細胞です。しかし、運動ニューロンが運動スキルの発現に直接的に関与しているのかといえば、それも違います。運動ニューロンは、脳からの指令を筋肉に伝えるだけですから。運動ニューロンという神経細胞がスキルの中心部分ではないのです。

 着目すべきは、脳におけるニューロン同士の接続部である「シナプス」です。シナプスは情報伝達を行っていますが、この働き方が運動上手な人と下手な人とでは違うのではないかと考えられます。

・熟練にはプログラムのアップデートが必要

−−筋骨ならまだしも、シナプスとなると目に見えず実感も得られません。運動スキルを高めるために、「シナプスを鍛える」ことはできるのでしょうか?

柳原:それには運動スキルに関わりの深い小脳について説明する必要があります。運動には小脳が重要な関わりをしています。実際、小脳に障害があると平衡感覚を保てない、歩行がうまく行えない、ボールをうまく投げられないなど、いろいろな症状が出てきます。

 大脳と小脳は幾重にもなるループ回路をもっていて、このループ回路によって運動のプログラムが成立すると考えられます。つまり、運動を形成するプログラムは脳にあって、その善し悪しを決めているのは、シナプスを介した小脳と大脳の機能的な連関というわけです。

−−要は、脳内を情報がループする中で運動プログラムが形成される。そのループに重要な役割を担うニューロンをつなぐシナプスが、運動スキルを左右しているというわけですね。

柳原:ええ。アスリートの体を見ると、丈夫な筋肉が目立ちますが、実際に難しい運動を行っているのは脳ということです。

 私が「小脳が運動に重要」と話したのは、小脳が筋活動の時間的・空間的順序や多くの筋肉の協調性に重要な役割を果たしているからです。

−−そうなると、脳がいかに運動プログラムを精度高く組み立てられるかどうかが、運動音痴を克服する鍵ということですか?

柳原:はい。例えば、ゴルフが上手い人のスウィングを真似ても、ある程度は再現できますが、あくまで“見よう見まね”に過ぎません。脳の中で精度の高いプログラムが作成されていないからです。熟練するには、その動作に関わる四肢・体幹の筋活動が脳内でプログラム化され、さらにそれらが状況に応じてアップデートされていかなければなりません。

 習いはじめは、誰しも誰かの動きを真似ますが、自分と他人は違うので、同じようにしているつもりでも同じ動作ではありません。自分にとって最適な動きを獲得する過程こそが重要なのです。

・脳には“フィードフォワード”力がある

−−熟練していく過程で、最適な動きをどう獲得しているのでしょうか?

柳原:たとえば、プロのピッチャーは150キロくらいの速いボールを投げますが、手先そのものも150キロ以上のスピードが出ています。

 そのとき「どれくらい力を入れたらいいか」や「いつボールを放すか」といった感覚に関する“フィードバック”の情報を使って運動指令を行うとしたら、時間がかかりすぎてしまいます。感覚フィードバック情報が運動指令に変換されるのには、30分の1秒くらい必要です。150キロ以上のスピードで動いている投手の手先は、30分の1秒後には、1メートル以上も前に動いていることになってしまう。

 人は最適な運動にあたって、感覚フィードバックを使っているのではなく、あらかじめ目標値を決め、運動に落とし込む“フィードフォワード”の制御を行っています。

−−「フィードフォワード」ですか。

柳原:そうです。フィードフォワード。「脳からの出力によって動作の内容を事前に決めておき、それを実行することによってシステムを直列的に制御する」という意味です。

−−難しくなってきたので、少し整理させてください。極端な言い方をすると、感覚フィードバック情報に基づく運動は、「腕の位置はこのあたりかな」「もう少し、足を上げるんだっけ」など、いちいち反省しながら運動する。対して、フィードフォワード制御は、勘というか予測をそのままなぞるような運動と考えていいですか?

柳原:ええ。握手する際、私たちは、いちいち「どのくらいの力を入れればいいんだっけ」なんて考えませんよね。自分の出す力を予測し、どれだけの力を入れたら、相手からどの程度の力が返ってくるかわかっているのです。

 スポーツでは、予測と出力された運動の精度をあげるのがスキル向上につながります。最初は視覚や触覚を使った感覚フィードバックに頼っていても、練習を繰り返すうちに、小脳によって自動的に運動が行われるようになります。フィードフォワード指令ができあがり、無意識のうちに運動を制御して、的確に行えるようになると、同時に自分の出力を予測できます。
動作の反復が脳の可塑性を高める

−−感覚フィードバックからフィードフォワードに変わるとき、脳の中で何が起きているのでしょうか?

柳原:「学習」が起きています。たとえば、扱うものがバットならば、その動特性を事前にわかっていなければなりません。また、学習の条件には、「いま行ったことは間違いだった」という誤差情報が必須です。

 ダーツをするとき、通常は矢が中心より右に行ったら、「今度は少し左に投げよう」とするわけです。でも、左右が逆転する“プリズム眼鏡”をかけて行うと、本当は矢が右に逸れたのに、眼には左に行ったように見える。そこで被験者は、1回投げるごとに本当の世界とは左右逆の感覚で軌道を修正していくわけです。これが、誤差情報を得てプログラムを修正する「学習」の状態です。

 では、プリズム眼鏡を外したらどうなるか。その学習内容はなくなるかというと、なくならないんですね。左右逆から左右正常に戻っているはずなのに、「左に行くように修正しよう」と矢を投げても、右に逸れてしまう。

 つまり、視覚が正常に戻っても、脳の中のプログラムに前の影響が残っているのです。

−−誤差情報の利用という学習過程を経て、プログラムが精巧になり、記憶・状況に応じて改変される。すなわち、絶えず学習によってプログラムが適応的に更新されていく能力を脳はもっているわけですね。

柳原:そうです。それを「シナプス可塑性」といいます。最初は感覚フィードバックに頼って誤差を修正していますが、練習を繰り返すうち、小脳によって無意識的、自動的な運動が行われるようになるのです。それが運動スキルの向上です。

 試行錯誤しながら、そこで生じた誤差情報を積極的に利用してシステム全体を適応的に更新していく。これが反復練習であり、脳におけるニューロンニューロンとの間のシナプス可塑性によって成し遂げられるものなのです。

コールレート翌日物

日経 BPnet

日本銀行がオペレーションしている数字

 金融指標で大切な数字は主に6つあります。月曜日の日経新聞をお持ちの方は、景気指標の面を開いてみてください。まず、上から3段目の右から4つの数字。「M3」「マネタリーベース」「コールレート翌日物」それから「新発10年国債利回り」。次に4段目の左から2つの数字、「銀行計貸出残高」「国内銀行貸出約定平均金利」。この6つです。

 まず、この「M3」「マネタリーベース」「コールレート翌日物」「新発10年国債利回り」の4つについてお話したいと思います。

 結論から言うと、これらの数字はGDPや在庫率指数ほどの大きな変化がありません。しかし、よく見てみると微妙な変化があるのです。

 一番分かりやすい数字からご説明しましょう。それは「コールレート翌日物」です。(日経新聞の景気指標には、上から3段目の右から2つ目の欄にあります)この数字が何を表しているか、ご存じでしょうか。

 コール市場というのは、主に銀行がお金を貸し借りする市場のことです。いわゆる、短期金利市場と呼ばれているものです。

 銀行には、預金がたくさん集まり資金が余剰となりやすい銀行と、貸し出しがたくさん出て資金不足となりやすい銀行とがあります。一般的に言うと、地方の銀行は資金余剰となりやすいのです。企業がそれほどないからです。例えば、地方の信用金庫などは、「預貸率」といって、預金に対する貸し出しの比率は低いことが多いのです。

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 一方、都会を中心に展開している大銀行などは、借り入れをする企業がたくさんありますから、資金不足となりがちです。

 このような状況から、銀行の中でも資金の過不足、つまり、資金が余っているところと足りないところが出てくるわけです。

 それからもう一つ、銀行ではお金が足りなくなる要因があります。それは、預金の一部を「準備預金」という形で、日本銀行(以下、日銀)に預金を置かなくてはいけないと決められています。

 銀行は、預かった資金を貸出しや国債の購入などでできる限り運用したいのですが、そうすると預金者からの急な引き出しに応じられなくなることもありえます。もし、銀行が預金引き出しに十分応じられないとなると、「取り付け」騒ぎにもなりかねません。そのため、準備預金を日銀に置かせることによって、銀行が預金者からの引き出しに応じられるようにしているのです。

 世の中から資金をたくさん吸い上げたい時は、日銀は預金に対する準備預金の置く率(「預金準備率」)を高くします。逆に、資金を世の中にたくさん供給したい時はこの率を引き下げるのです。

 いずれにしても、日銀は銀行に「預金のうち一定率のお金を日銀に置きなさい」と命令しています。それを置かないと、銀行は日銀から業務を許可されなくなります。

 しかし、そうすると都会の銀行など貸し出しの多い銀行は資金が足らなくなることがあります。それを他の銀行から借りてくる市場のことを、コール市場と言うのです。

 コール市場には、期間が決められています。一番短いものですと、半日だけ資金を貸し出してくれるという半日物(日中コール)です。その次に短いのは、一日だけ借りるという翌日物です。これは「オーバーナイト」と呼ばれています。

 その金利が「コールレート翌日物金利」と呼ばれているものです。なぜ、これが景気指標に載っているかというと、日銀が調整しようとしている短期金融市場の金利は、実はこの数字だからです。

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・“政策金利”とは

 右の表は、「コールレート翌日物」のデータです。2009年1月は0.120%、2月は0.111%となっていますね。これは、日銀が毎日、短期金利市場の資金量を調整することによって、この0.1%になるように誘導しているのです。

 「コールレート翌日物」の取り手が多くなると需給の関係で金利が上昇します。すると、日銀は資金を供給し、金利を0.1%に限りなく近づくようにします。逆にこの数字が下がると、資金を吸い上げるようになります。

 このことを、“オペレーション”と呼びます。銀行が持っている手形を買ったり売ったりして、資金の量を調整することによって、「コールレート翌日物」の金利を限りなく0.1%に近づけているのです。

 いわゆる“政策金利”と呼ばれるものは、この「コールレート翌日物」なのです。

・今は、「公定歩合」がなくなった?

 以前は、公定歩合というものがありました。公定歩合とは、日銀が銀行に貸し付けを行う時の金利のことです。公定歩合を変えることによって、短期金融市場を調整していました。

 今は、公定歩合というものがありません。正確に言うと、あるのですが、それを金融市場の主要な調整の手段にはしていないのです。だから、日銀が政策金利を0.1%に変えた時、公定歩合も動かしたと思うのですが、日銀が発表している記事を見ると、正確には公定歩合とは言っておらず、「補完的貸付金利」という呼び方をしています。
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 補完的貸付とは、金融機関の資金繰りが厳しくなった時に、金融機関が持っている国債を担保に無条件でそれを貸し出すことです。その金利を、「補完的貸付金利」と呼んでいます。少し難しくなりますが、欧州の「ロンバート貸付」にならった制度です。これが、いわゆる公定歩合です。

 だから、もちろん公定歩合も短期金融市場の調整手段としては使っていないわけではないのですが、主に「コールレート翌日物」を政策金利として金融市場調節の主なターゲットとしているのです。つまり、短期金融の一番大きなポイントに置いているのです。

 基本的なことですが、日銀は、景気が悪くなると金利を下げます。景気が良くなると金利を上げます。

 「コールレート翌日物」の表を見ると、2007年度から2008年9月頃まで、およそ0.5%が長く続いていましたよね。この時は、0.5%前後を政策金利にしていたわけです。そして、景気が悪くなりはじめたので、その次に0.2%に下げました。それでもダメなので、0.1%に落としたのです。

 ここで、一つ理解しておかなければならないのが、金融当局である日銀は、長期金利を操作することはできません。金利の操作は、この「コールレート翌日物」だけをやっているのです。

 ここが始点になっているので、これより長い金利も変わっていくだろうということです。ただ、長期金利は、需要と供給の関係から決まってくるので、日銀は直接にはオペレーションができません。

M3・マネタリーベース・新発10年国債利回り

・ゼロ金利にしても、景気に全く反応がない時は…

 以前、金融危機が日本であった頃、日銀はゼロ金利政策をやりましたが、景気は全く反応しませんでした。その時に政府は何をしたのかというと、金利はゼロ以下にはならないから、量的緩和と言って、お金を市場に行き渡らせるようにしました。資金をじゃぶじゃぶに市中につけたのです。

 一時は、日銀当座預金(これは、準備預金だけではありません。余ったお金もそこに置くことがあります)が30兆円になるぐらいまでに量的緩和を行いました。

 これについて、もう少し詳しくお話します。銀行は、本当はお金を貸し出しに回すか、国債を買うなどして運用したいのです。

 しかし、貸出先がない、あるいは国債を買い過ぎることも価格変動リスクがありますから、市中にじゃぶじゃぶに資金がある時には、資金余剰が発生します。

 こういうときは、他行も資金が余っているので、預かってくれません。そうして行き場がなくなったお金は、日銀当座預金に預けます。日銀当座預金は、金利はつきませんが、預かってはくれるので、余ってしまってどうしようもなくなったらここに預けるのです。

 もう本当にお金が余ってしまったら、日銀当座預金に預けます。そして、余ってしまったお金が日銀に還流していって30兆円になるくらいに、じゃぶじゃぶに資金を供給しましょうというのが量的緩和です。

 バブル崩壊の後、2回の金融危機があって、もう景気がどうにもならないという頃に、ゼロ金利量的緩和を行っていたのです。

 ただ、2002年あたりから景気が徐々に回復していったので、まずは量的緩和をやめました。それが、2006年の3月でした。

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 量的緩和をやめて、その後、しばらくしてゼロ金利もやめました。そして、さっきご説明したように0.5%まで政策金利を上昇させました。

 本当は、その後も1%ぐらいまで金利を上げておきたかったのです。しかし、自民党の横槍で上げることができませんでした。

 金利は、「のりしろ」だと思ってください。2008年秋頃、0.5%の「のりしろ」しかない中で、景気後退がやってきました。今は、それをもう、ほぼ使い切ってしまったわけです。

 そうすると、量的緩和を本格的にやるのかやらないのか、ということになってきます。その時に、じゃあ、量的緩和とは実際なんなのか、というと、「マネタリーベース」を増加させることです。

 政府が動かせるお金というのは、この「マネタリーベース」しかありません。

 「マネタリーベース」というのは、現金通貨と日銀当座預金を足したものです。別の言葉で、「ハイパワードマネー」とも呼ばれています。

 それらは、政府、正確に言うと日銀がコントロールすることができます。現金通貨は、日銀がお札を刷れば増えるわけです。日銀当座預金の残高も、さっきご説明したように、オペレーションによって、市場にお金を供給することができます。準備預金をたくさん動かすことによってもコントロールができるわけです。

 もう一つ重要な数字として、M3というものがあります。これは、いわゆる「マネーサプライ」と呼ばれるものです。昨年までは、M2+CDという表記でした。M2は現金通貨に預金を足したもの、CDとは譲渡性預金のことで、Certificate of Depositの略です。

 M2+CDとM3の差は、「ゆうちょ」を加えたことです。ゆうちょが民営化したことによって、通貨の統計を変えて、M3となったのでしょう。

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 以前もお話しましたが、日銀はM3をコントロールすることはできません。みんなの預金を政府がコントロールすることはできませんよね。

 景気が良くなると、マネーサプライが膨張します。それはなぜかというと、企業がお金借りたいとか、民間の人がお金を借りて家を建てたいだとか、景気がよくなりそうだから、お金を借りても大丈夫ということになるからです。

 景気が悪くなると、マネーサプライが減少してきます。資金需要がなくなるからです。こうしたときに、日銀がマネタリーベースを増加させることによって、資金の流れを良くし、景気に刺激を与えようとするのです。

 この表で、マネタリーベースが、2006年はマイナス18.6%と出ているのは、量的緩和をやめたからです。景気が良くなってきたので、景気刺激策のためにじゃぶじゃぶにつけていたお金を絞り始めたのです。

 ここ数カ月、この数字は増加してきています。それは、景気が悪くなってきて、ゼロ金利に近くなってきたので、資金を市場に行き渡らせないといけなくなったからです。

 景気が悪化すると金回り(お金の循環、「流通速度」ともいう)が悪くなりがちです。そういうときに市中の資金がひっ迫すると銀行から貸出先へのお金が回らなかったり、場合によっては取り付けになったりすると困りますから、資金を供給するという意味で日銀はマネタリーベースを増加させるのです。具体的に言うと、資金が余って日銀当座預金の残高が増加するくらいに資金供給を増加させるのです。

 先ほど説明した量的緩和の時は30兆円でしたが、半年ぐらい前までは7兆円ぐらいに日銀当座預金残高を誘導していました。

 今見ていると、10〜11兆円ぐらいに誘導しているようです。これは毎日、日経新聞に出ています。

 ただ、M3はそれほど反応していません。これが本格的に増え始めると、資金需要が増えてきたということなので、景気が良くなってきたサインです。貸出しが増えると、その一部が預金として置かれるからです。置かれた預金がまた貸出しに回り、その一部が預金で残り、またその一部が貸出しに回るという、好循環が生まれるのです。

 今は資金需要が十分にはないので、設備投資などをしません。ただ、延命のための資金は必要なので、それは少し増えています。しかし今は、みんなが設備投資するほど資金が必要ということはありません。

 ちなみに、バブルの頃はマネーサプライが2桁レベルで増えていました。伸びすぎでした。みんな、お金が欲しくて、それを設備投資に回して、景気がいいから、お金の循環がいいのです。お金の流通速度(velocity)が速いと言います。金回りがいいということです。
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 今は、景気が悪いので、流通速度が遅いのです。だから、マネーサプライも増えない、という状況です。

 日経新聞の景気指標に、「新発10年国債利回り」と言うものが出ています。これが、いわゆる長期金利です。長期金利は需要と供給によって決まります。だから、景気が良くなってくると上がってきます。今は、景気が良くないので、1%台の前半になっています。これは短期金利政策金利)を低めに誘導していることとも関係しています。

 ただし、注意しないといけないのは、日本もアメリカもそうですが、景気刺激のために、赤字国債を増発しすぎると、需給の関係で金利を高くしないと国債を買ってもらえなくなる点です。あまりに赤字国債を出しすぎると金利が上昇し始めるということもあるのです。

 アメリカには、若干その傾向が出ています。「10年国債利回り」を見てください。一時期2.22%まで下がっています。それが、2009年2月で 3.01%まで上昇しています。これは、実は、もうなりふり構わず2兆ドルもの景気刺激策をとるということで、ファイナンス(資金調達)しないといけないので、国債の大増発があるだろうということで、金利が上がっているのです。

 投資家たちは、価格変動リスクや為替リスクがあるため、一定額以上の米国債を抱えたくないので、いらないという話になると、金利を高くしないと買ってもらえなくなります。(つづく)